幕張メッセにおいて、11月15日・16日の2日間に渡り、[KNOT FEST JAPAN 2014]が開催された。
アメリカ国外では初の開催となった、日本での”ダークカーニバル”。出演者がえげつない。オーガナイザーでありヘッドライナーのSlipknot。そのSlipknotに繋げる各日のバンドが、LIMP BIZKITとKoRnだって?それを日本で観られるだって?加えて、Papa Roach、Lamb Of God、TRIVIUM、IN FLAMESなどの海外勢、ONE OK ROCK、SiM、MAN WITH A MISSION、AA=などの日本勢が出演するという、奇跡のラインナップが実現!両日共に、チケットはソールドアウト。Slipknotが日本の為に用意した、激音で激音を洗う熾烈極まりない前代未聞のフェスティバル!
[KNOT FEST JAPAN 2014]、新たな伝説がここに誕生した。
爽やかな秋空の下、海浜幕張駅から黒い集団(=観客)の足が、幕張メッセに向かっている。開演前、フードエリアには既に多くの観客が腹越しらえの真最中。物販エリアも長蛇の列。このダークカーニバルに備え、多くの人がゆったりとした時間を過ごしている。嵐の前の静けさ。
そして、Opening ActのHenLee、CRYSTAL LAKEが轟音と共に、記念すべき日本初上陸となる[KNOT FEST JAPAN 2014]の幕を切った。
続いて、この日会場でTシャツ着用率が高かったcoldrainが登場。『Die tomorrow』で会場全体をシンガロングで包み込むと、今年2度目の来日となるMiss MAY Iが『Gone』の緩急あるヘヴィー・サウンドで観客の体を縦にも横にも揺らし、「ライブハウスからやって来ました」というMCでライブをスタートさせたMEANIGが、『Rise In Rebellion』でのっけから観客をガンガン煽って行く。
BRING ME THE HORIZONが始まる頃には、巨大フロアは観客の密集率が一気に上昇。『House Of Wolves』で会場全体に大合唱を巻き起こすと、Crossfaithは「地獄絵図、作ろうぜ」とプレイされた『Countdown To Hell』でメッセをカオス状態に導き、続くLamb Of Godはその変則的なヘヴィネス・サウンドで圧巻のステージを展開。『BLACK LABEL』で、フロアのボルテージが上がりまくる。
いよいよカーニバルも後半戦へ。ステージに登場したのは、SiM。1曲目『KiLLiNG ME』から観客の暴れっぷりが尋常ではない。スカやレゲエの要素を取り入れた独自のヘヴィー・サウンドでメッセをダンスホールに変えてのけた。”世代や趣味なんて飛び越えて、日本のロックをオレ達で変えて行こう”と語るボーカルのMAHの言葉が印象的だった。ラストの『f.a.i.th』でフロアの盛り上がりは大爆発。
続いて登場したのは、Papa Roach。『Getting Away with Murder』をはじめ、『Infest』『Blood Brothers』『Broken Home』など、数々の名曲を惜しみなくプレイ。『Infest』では、Vo.のジェイコヴがフロアに降りて来て、クラウド・サーフもきめ、観客は更に大熱狂。イントロが聞こえてくる度に、歓声が凄まじく、その名曲の数々を歌う観客の大合唱が、会場に大きく響き渡っていた。ラストは『Dead Cell』『Last Resort』という、これまた問答無用の大名曲で、その圧巻のステージを終えた。
続いては日本のバンドとしては最後となる、ONE OK ROCKが登場。『Deeper Deeper』で幕を開け、『アンサイズニア』『Clock Strikes』でメッセを手拍子と大合唱に包む。ラストの『The Biginning』までの全7曲を、その圧倒的な歌唱力とアグレッシブなステージングで駆け抜けたその姿は、どこか感動的ですらあった。10月にアメリカで開催された[KNOT FEST USA 2014]にも出演したONE OK ROCK。今後、海外での活動も楽しみだ。
そして、トリ前に登場したのはLIMP BIZKIT。ボーカルのフレッド・ダーストは髭をたくわえ、スイサイダル・テンデンシーズのナイロン・ジャケットを着用。パンツも安定の腰パンだ。『THIEVES』でライブがスタートすると、1曲目からフロアの揺れ方が凄まじい。それ以上に、続く『HOT DOG』でフロアの盛り上がりは激化。『MY GENERATION』で、フロアはもうレッド・ゾーンに到達。メッセが大合唱に包まれた『ROLLIN』『MY WAY』をプレイした後、フレッドが観客に「リクエストあるか?レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン?」とジョークを言った後に披露されたのは、ジョージ・マイケルのカバー『FAITH』。更にガンズ・アンドローゼスの『Welcome to the jungle』、そして約束通り?(笑)、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの『Bombtrack』(イントロのみ)のカバーも披露。そして『TAKE A LOOK AROUND』がプレイされると、とっくにレッド・ゾーンを振り切っている会場のボルテージは、いよいよ未体験ゾーンに突入。ライブを終えステージを去ろうとするフレッドを横目に、ギターのウェスがそしらぬ顔でイントロを弾き始め、最後に『BREAK STUFF』をプレイ。演奏を終え、ステージでは『スティン・アライブ』が流れる中、フレッドだけがステージに残りダンスを披露。大きな拍手と多くの笑顔に見送られながら、そのライブを終えた。
そしていよいよ、今回の主役であるSlipknotの時間が訪れた。ステージにはこれまで無かった幕が掛かり、”猟奇趣味的激烈音楽集団の登場”を今か今かと待つ観客の緊張感が伝わってくる中、フロアの客電が落とされ、地響きの様な歓声が巻き起こる。10月にリリースされたばかりのNEWアルバム[The Gray Chapter]収録の『XIX』が鳴り響く中、遂にその幕が上がると、そこには神殿を連想させるセットとメンバーの姿が。ボーカルのコリィが「トーキョー!サワゲー!」と叫ぶと、新曲『SARCASTROPHE』からライブは怒濤のスタートを切った。フロアは既にカオス状態。続く『THE HERETIC ANTHEM』での観客とのコール&レスポンスは、フロアの至る所にモッシュピットを生み出し、名曲『MY PLAGUE』ではもはや制御不能の盛り上がりをみせる幕張メッセ。「アリガトー!コンニチワー!トーキョー!スリップノットデス!コンバンワ!トーキョー、サイコー!」『LIBERATE』ではコリィが「テヲアゲロー!トベー!」と叫び、幕張メッセを揺らしまくる。[KNOT FEST]を日本で初めて開催出来た事、日本のファン、出演バンドに感謝を述べるコリィ。ライブの中で「Thank You」「アリガトウ」と、彼は何度言っただろうか。名曲『SPIT IT OUT』では恒例となっている、観客を座らせて一斉にジャンプする”儀式”ももちろん行われ、『CUSTER』で大合唱、無数のサークルモッシュ、クラウド・サーフが生まれ、阿鼻叫喚のショウは終了。そしてアンコールに突入、『SURFACING』でコリィが「ナカユビタテロー!」と叫ぶと、挑発的な無数の拳がフロアを埋め尽くした。[KNOT FEST JAPAN 2014]初日は、壮絶ながらも爽快感に溢れた夜になった事を、帰路につく観客の顔が物語っていた。(文:KATSUNORI KUNIHIRO(MAVERICK KITCHEN)
壮絶な激音まみれの翌日も、空は気持ちの良い秋晴れ。マスク、衣装、機材等をこの目で間近で見ようと、会場内に設置された”Slipknot Museum”は、この日も開演前から多くの人が訪れていた。また、この数日前に急病のため出演キャンセルがアナウンスされたマキシマムザホルモンだが、この日は彼らのTシャツ着用率が凄く高かったことも記しておこう。
Opening ActのSILHOUETTE FROM THE SKYLIT、MAKE MY DAYが前のめりで叩き付ける渾身のパフォーマンスに、フロアも高い熱量を帯びた歓声で応える。
この時点でフロアでの観客の密集率は、異常に高くなっていた。それもそのはず。Opening Actに続いて登場したのはAA=。『ALL ANIMALS ARE EQUAL』を真摯なメッセージと共に叩き付け、フロアは既に狂乱状態に。続くKNOCK OUT MONKEYは『Scream & Shout』で疾走感溢れるステージを展開した。
そしてこの日、会場でこのバンドのTシャツを来た人が本当に多かった。スウェディッシュ・バイキング・メタルの巨人、Amon Amarthの登場だ。『DECEIVER OF THE GODS』では大合唱が巻き起こり、フロント4人の長髪を振り乱してのヘッド・バンキングは会場を大いに湧かせた。
続いて登場したのは、この日の1つのハイライトとして、観客の記憶に焼き付いたであろう、Five Finger Death Punch。怒濤のメタル・コア・サウンドで突き進みながらも、ボーカルのアイヴァンがとにかく観客を楽しませる。セッティングを行っている最中の、隣のSTAGE Bへ1人移動し歌う、という荒技をやってのけたり、フロアに降りて観客と積極的にスキンシップを取ったりと、やりたい放題。極めつけは、1人の女性をステージに上げ、彼女をドラムセットの横に立たせたままでプレイした『Burn Mother Fucker』。唖然とする女性と、強烈なサウンドのコントラスト。激しいながらも、とことんハッピーなステージに、観客から大きな拍手と歓声が送られた。
日本でも絶大な人気を誇るIN FLAMES。ドラマチックに展開する、重厚かつ甘美なデス・メタル・サウンドで観客を魅了。名曲『Take This Life』で、フロアはカオス状態に。続くWAGDUG FUTURISTIC UNITYは、強烈なデジタル・ハードコア・サウンドでフロアを煽りまくり、ラストの『SYSTEMATIC PEOPLE』まで全8曲を一気に畳み掛けた。
続いてはTRIVIUMが登場。1曲目『Strife』からフロアの熱狂が凄まじい。名曲『Dying In Your Arms』がプレイされると、会場は大きな歓声と共に大合唱で応える。ボーカルのキイチはアイルランド系アメリカ人の父親と、日本人の母の間に生まれたハーフで、生まれたのは山口県。自分のルーツは日本にある事を語ると、観客から大きな拍手が送られた。名曲『Anthem』では、モッシュと大合唱が巻き起こった。
10月の[KNOT FEST USA 2014]にも出演した、MAN WITH A MISSION。『evils fall』『TAKE WHAT U WANT』『Get Off of My Way』の3曲が立て続けにプレイされ、会場のボルテージは天井知らずに上がり続ける。ギターのジャン・ケン・ジョニーの「ミナサンハ ノットフェスニ ツイテコレテルノデスカ?」というMCの後にプレイされた『When My Devils Rises』では、ハンドクラップが会場を埋め尽くし、幕張メッセはダンスホールと化した。『distance』では、ゲストでSlipknotのシドが登場し、DJサンタ・モニカとの激しいDJバトルを展開。ラスト『Emotions』までアッという間の40分間だった。
そして、KoRnの登場だ。スタート前、観客の緊張感と期待感が幕張メッセを支配し異様な空気の中、H.R.ギーガー制作によるマイクスタンドがスタッフの手によって、ステージに運ばれるとフロアは大歓声に包まれると、客電が落とされメンバーが登場。1曲目の『TWIST』でライブはスタート。フロアの揺れ方が、確実におかしな揺れ方をしていた。お湯が沸騰してグツグツして、煮えたぎった状態とでも言おうか。ボーカルのジョナサンによる、気迫に満ちたパフォーマンスが更にフロアを沸騰させ、そこから『HERE TO STAY』『RIGHT NOW』に傾れ込み、フロアは制御不能に。『LOVE AND METH』で会場は大合唱となり、『HATER』では観客の体を横に揺らし、ジョナサンがバクパイプを持って登場しプレイされた『SHOOTS AND LADDERS』から、メタリカの『ONE』のカバーに繋げ、『GOT THE LIFE』『FREAK ON A LEASH』『BLIND』といった名曲の数々を叩き付ける。ギターのヘッドが昨年バンドに復帰したKoRn。今後の展開に期待しかない、そんな最強のショウだった。
狂乱にまみれたKoRnのライブが終わっても、まだ次にSlipknotが控えてるなんて。定刻20時にSlipknotのショウがスタート。前日と同じく、『SARCASTROPHE』『THE HERETIC ANTHEM』『MY PLAGUE』の激烈サウンドを畳み掛け、それに応える観客のボルテージも凄まじい。そして、暑かった。観客のボルテージが、フロアの温度を確実に上げていた。朝からこんな凄まじいメンツのフェスで、しかも先ほどのKoRnで燃えカスになってても全く不思議ではないのに、このSlipknotでの観客の暴れっぷりが尋常ではない。「トーキョー!コンニチワ!コンバンワ!」コリィはこの日も観客や出演バンドに向けて、感謝の気持ちを絶えず口にしていた。そして『DISASTERPIECE』『OPIUM OF THE PEOPLE』『DEAD MEMORIES』『DUALITY』など、前日はプレイされなかったナンバーを披露。「昨日は最高だったけど、今日はどうかな?」とオーディエンスを煽りプレイされた『SPIT IT OUT』。”恒例行事”では、昨日以上のジャンプを見せる幕張メッセ。前日もパーカッションのクラウンは、この曲でフロアに降りて行ったが、この日はフロア後方まで進み、観客が騒然となる一幕も。『CUSTER』で本編を終え、アンコールで再び登場。『(SIC)』では、この2日間で最大のモッシュサークルが出現した。そして、『PEOPLE=SHIT』『SURFACING』をプレイし、ショウは終了。最後にメンバーがステージ中央に集まり、フロアに背を向け記念撮影。[KONT FEST 2014]は早くも伝説のフェスティバルとして観客の胸に強く刻まれ、その2日間の幕を閉じた。(文:KATSUNORI KUNIHIRO(MAVERICK KITCHEN)