2014年、2015年、そして今年で3回目となるカリフォルニア州サンバーナーディーノ会場でのUS版KNOTFEST(今年はOZZFEST MEETS KNOTFESTとしてOZZFESTと合同開催)が9月25日に控えているにも関わらず、1万7500人を収容するLAの老舗会場THE FORUMは2階、3階の座席の後方までギッシリ!
ヘッドラインツアーは2010年代には一度も実現してないことや、KNOTFEST USには出演しないマリリン・マンソンを帯同させていることもこの熱狂に繋がったのか。改めて彼らの人気の高さを思い知った。
マリリン・マンソンの約1時間のセットは「Disposable Teens」、「The Dope Show」や「Antichrist Superstar」、本人が描かれたドル札(その価格 $666! )を大量に散布した「The Beautiful People」で締めくくるラストまで、1曲ごとに最大限の暗転をしての衣装/セットチェンジや、天空にも届きそうなスモークの演出など、トリ前ながら規模としてはメインアクトのスケールで堪能させてくれる気合いの入れ様!ヒット曲を惜しみなくプレイするので、11月のKNOTFEST JAPANでも新たなフォロワーを生むのは間違いない。
9時半を少し過ぎたところでSlipknotが登場!『5: The Gray Chapter』後半に収録のクリーピーなインタールード「Be Prepared For Hell」が不気味な空気を醸し、メンバーがステージに登場!そこから「The Negative One」が始まると大会場のフロア両端まで届きそうな大規模のサークルピットが!2014年から迎えているベースのアレッサンドロやドラムのジェイを含めた体制の機が熟したといったらいいのだろうか、2010年のポール急逝以降に過らずにいられなかった喪失感のようなものを一切感じさせなかった。
また、今回は会場後方にいても1匹単位まで蠢く様子が鮮明に映る「Pulse of the Maggots」でのマゴッツの映像などの視覚効果がフィーチャーされていたのも印象的。Slipknotの魅力を語る上で不可欠ともいえるクリーピーな映像やアートワークによって、お馴染みの楽曲を違った角度や深さ、高さから楽しめたような気がする。
また、心配していた今年6月に受けた脊椎手術の影響もなく、ヘドバンやジャンプこそしなかったがコリィは元気そのものだったのは一安心だった。マスクを通して観客をしっかりと見届けているというコリィはもちろん、メンバーも恐らくここまでの盛り上がりは期待以上だった様子で、ライヴが進むにつれてヴォルテージが上がっているのがこちらにもはっきりと伝わった。日本、米国、英国、ギリシャでSlipknotのライヴを観てきた筆者にとって、米国のファンはその他の地域と少しヴォルテージが低い印象を持っていたが、この日のオーディエンスはまるで日本で観るのと同じような高い熱温に溢れていたことに喜んでいたのは、誰より彼ら自身だったに違いない。コリィ・テイラーの「今回のツアーで最高のショウのひとつ」というMCにもリアリティを感じた夜だった。(宮原亜矢)